あっちょんぶりけ

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吉本ばなな 「白河夜船」

高校の頃に読んだこの本の映画を観た。(2015年映画化)

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この物語はとても静かだ。夜やベッドの上のシーンが多い。

私はなぜか出てくる男性がとても好きで、…具体的には彼の発する言葉が好きで、彼と主人公である「寺子」の会話の幾つかは、20年以上たった今も はっきり覚えていた。映画では井浦新さんがその男性役。これがとても良かった。本を読んだ当時、この役を出来る俳優さんは豊川悦司さんくらいしか思い当たらず、でも当時の豊川さんは、この役をするにはちょっと鋭すぎた。井浦新さんが登場したから映画化したんじゃないか、そう思うくらい、私は気に入ってしまった。

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この映画を観たのは一時帰国中の自宅で、観終わって即原作を読み返したかったけど、本は「微笑みの国」に持って行ってしまっていて、地団駄踏んだ。中古屋でもう一冊買おうかと一瞬本気で思った。
 
ばななさんの本を教えてくれたのは幼馴染だった。私は彼女が大好きだ。実家が隣同士だったけど、決していつもずっと一緒にいた訳ではない。クラスが同じだったことも少ないし、部活も、高校も進路も違った。でも、その距離感がちょうど良かった。
ばななさんの本の登場人物たちの会話にも、その適度な距離感と 丁寧さがあるように感じられて、それがとても好きだった。出来れば、私もそんな言葉遣いで生活を紡ぎたい、と本を読むたびによく思った。実際はそんなことスグ忘れてしまうのだけれど。
 
出来れば、原作読んでから映画を観て欲しい。「白河夜船」という言葉には、ちゃんと意味があるらしいのだけど、私には「白河夜船=この話」だ。この話はなんと言うか、それくらいずっしりと私の中に特等席を持っている。
 
今 これを書きながら、もう一度読み返した。それくらい短い物語。読んでいる間 時計が止まる気がする。 

 

*以前のブログに投稿した記事です。書いた当時、この映画と小説の雰囲気にどっぷり浸かっていたみたい。言葉遣いが自分じゃないみたいですw

**主人公の「寺子」は、とにかく眠りまくる。働きもせず寝続ける。それでも彼にとても愛されている。大切にされている。何もしていなくても、何も生み出していなくても、全面的に愛されている。そんな「寺子」が私は羨ましいのかもしれない、と ふと思いました。